建築のプロの必需品！「さしがね」を使いこなそう

建築のプロの必需品！「さしがね」を使いこなそう

「さしがね」とは？

– 「さしがね」とは？建築現場で日々、家々が組み立てられていく様子を見たことがありますか？木材や石膏ボードが正確に加工され、組み合わされていく様は、まさに職人技と言えるでしょう。そして、その精巧な作業を支える道具の一つに、「さしがね」があります。「さしがね」は、L字型の金属製の定規で、一見シンプルな形をしています。しかし、その用途は、長さを測る、直角を出す、線を引く、角度を測るなど、非常に多岐にわたります。そのため、建築現場ではなくてはならない存在であり、大工さんにとっては、まさに相棒と呼ぶべき道具なのです。漢字では、「指矩」「指金」「差金」などと表記されますが、いずれも、指で示した場所に印をつける、線を引くことができる道具であることを表しています。このことからも、「さしがね」が、単なる定規ではなく、正確な作業を迅速に行うための、職人たちの知恵と工夫が詰まった道具であることが分かります。「さしがね」には、様々な目盛りや表が刻まれており、これらを使いこなすことで、複雑な計算を必要とせずに、木材の寸法を割り出したり、屋根の勾配を測ったりすることができます。長年使い込まれた「さしがね」は、持ち主の職人さんの技術と経験を物語る、まさに「手に職」の象徴と言えるでしょう。

「さしがね」の構造

– 「さしがね」の構造

「さしがね」は、日本の建築現場で欠かせない道具の一つです。長い方を「長手」、短い方を「妻手」と呼び、長手と妻手の両方に目盛りが刻まれているのが特徴です。

目盛りは、長手と妻手のそれぞれに内側と外側の両方に記されています。内側の目盛りは、木材の長さを測る際に用いられ、外側の目盛りは、木材の幅や厚みを測る際に使用します。このように、一つの道具で様々な計測ができるため、日本の建築現場で重宝されてきました。

「さしがね」の長さは、一般的に50cmのものが主流ですが、用途に合わせて様々なサイズがあります。例えば、細かい作業に適した小さなものや、大きな建材を測るための大きなものなどがあります。

材質は、ステンレス、鋼、真鍮などが用いられ、錆びにくさや耐久性が考慮されていることも特徴です。屋外での使用が多いことを考えると、これらの点は重要な要素と言えるでしょう。

「さしがね」は、一見すると単純な構造の道具ですが、日本の建築現場で長年使い続けられてきた理由には、使いやすさと機能性の高さがあります。

「さしがね」の目盛りの種類

「さしがね」は、木材の長さを測ったり、直角を出すために用いられる、日本の建築現場では欠かせない道具です。目盛りは、私たちが普段目にする㎝や㎜を基本単位としていますが、実はそれ以外にも、尺や寸といった単位で表示されているものもあるのです。

一体なぜ、異なる単位の目盛りが刻まれているのでしょうか？それは、日本の建築の歴史と深く関わっています。かつて日本では、尺貫法という独自の計量単位が用いられてきました。そのため、昔ながらの「さしがね」には、尺や寸の目盛りが刻まれているのです。例えば、一尺は約30.3㎝、一寸は約3.03㎝といった具合に、メートル法とは異なる単位で長さを測っていました。

近年では、国際的な標準であるメートル法に合わせて、㎝や㎜表示の「さしがね」が主流となっています。しかし、伝統的な建築技術を受け継ぐ現場では、今でも尺貫法を用いた「さしがね」が現役で活躍しています。古くから伝わる建築物の修復など、尺貫法で設計された図面を扱う際には、尺や寸の目盛りが刻まれた「さしがね」が欠かせないからです。

このように、「さしがね」の目盛りは、日本の建築の歴史と伝統を映し出す鏡とも言えます。異なる単位が併記されていることで、昔の建築技術と現在の技術を繋ぎ、日本の建築文化を未来へと伝えていく役割を担っていると言えるでしょう。

「さしがね」を使いこなす

「さしがね」は、建築現場で欠かせない道具の一つです。一見すると長さを測るための単純な道具に見えますが、その用途は多岐に渡り、まさに「職人の相棒」と呼ぶにふさわしい存在です。

「さしがね」の主な使い道として、まず挙げられるのは、木材の長さを測ることです。長辺に目盛りが刻まれており、これを基準に木材を必要な長さに印付けします。しかし、「さしがね」の真価は、それだけではありません。短辺にも目盛りが刻まれており、これを用いることで、木材の厚みを測ることもできます。さらに、「さしがね」には直角に交わる部分があるため、これを基準に木材を直角に切断したり、組み立てた木材が正確に直角になっているかを確認したりすることができます。

また、「さしがね」には、様々な角度や勾配を測ったり、印付けたりするための便利な機能も備わっています。例えば、屋根の勾配を測る場合、特定の角度に設定した「さしがね」を木材に当てることで、正確な角度を測ることができます。また、「さしがね」には、円を描くための機能も備わっています。中心点を定め、「さしがね」の一端に釘などを刺し、もう一方の端に鉛筆を固定して回転させることで、簡単に円を描くことができます。

このように、「さしがね」は、一見単純な道具でありながら、多様な機能を備えており、その使いこなしによって、様々な作業を効率的に行うことができます。熟練した職人になると、「さしがね」一つで、測量から加工、組み立てまで、あらゆる作業をこなしてしまうほどです。

「さしがね」は奥が深い

「さしがね」一見すると、長さを測ったり、線を引いたりするだけの簡素な道具のように思えます。しかし、その用途は幅広く、奥深い知識と技能が詰まっているのです。古くから日本の建築現場で重宝されてきたのも、その汎用性の高さゆえでしょう。
まず、「さしがね」の魅力はその正確な寸法を測れる点にあります。目盛りの種類も豊富で、用途に応じて使い分けることができます。さらに、直角や平行線を引く、角度を測るといった作業も「さしがね」一つで行えます。
また、「さしがね」には日本の伝統的な寸法体系である「尺」や「寸」の目盛りも刻まれています。これは、古民家などの伝統建築物を扱う際に欠かせない要素です。現代建築ではメートル法が主流ですが、日本の建築文化を知る上でも「さしがね」は重要な役割を担っています。
近年では、DIYの流行に伴い、「さしがね」を家庭で見かける機会も増えました。確かに、最初は使いこなすまでに時間を要するかもしれません。しかし、その奥深さを知れば知るほど、道具としての魅力に惹かれていくはずです。「さしがね」を手にすることをきっかけに、日本の伝統的な建築文化に触れてみてはいかがでしょうか。