住宅建築の落とし穴？あて材による影響と対策

住宅建築の落とし穴？あて材による影響と対策

あて材とは？

– あて材とは？

木は、太陽の光を求めて天に向かって成長します。しかし、山間部などの傾斜地で育つ木は、真っ直ぐ上に伸びようとする際に、自身の重力とのバランスを取る必要が生じます。その結果、幹の内部には常に偏った力がかかり続け、その力に耐えようとして、幹の一部の細胞組織が変化し、独特の性質を持つようになります。これが「あて材」です。

あて材は、木の成長過程で自然に形成されるものですが、通常の材と比べて強度や硬度、乾燥後の収縮率などが大きく異なるため、建築材料として使用する場合には注意が必要です。例えば、乾燥すると大きく収縮したり、割れやすい性質があるため、構造材として使用するには不向きとされています。また、あて材は見た目だけでは判断が難しく、通常の材と見分けがつきにくいという特徴があります。そのため、知らず知らずのうちに住宅に使用されているケースもあるようです。

あて材の存在は、木の成長の力強さを物語ると同時に、木材を扱う際には、その特性をよく理解しておくことの重要性を示しています。

針葉樹と広葉樹の違い

木は大きく分けて針葉樹と広葉樹の二つに分類されますが、実は、同じ木でも場所によって木材としての性質が異なります。その違いを生み出す要因の一つに「あて材」の存在があります。

あて材とは、木の成長過程で、風や重力などの影響を受けて幹の内部に形成される特別な組織のことです。このあて材は、針葉樹と広葉樹では、そのできる場所が異なり、その結果、木材としての性質にも違いが現れます。

針葉樹の場合、傾斜地の下側、つまり谷側に多くあて材が形成されます。これは圧縮あて材と呼ばれ、木材の中でも硬く、強度が高いという特徴があります。そのため、建築材など、強度が求められる用途に適しています。代表的な樹種としては、ヒノキやスギなどが挙げられます。

一方、広葉樹の場合は、傾斜地の上側、つまり山側に多くあて材が形成されます。こちらは引張あて材と呼ばれ、針葉樹の圧縮あて材とは対照的に、柔らかく、強度が低いという特徴があります。家具や楽器など、加工のしやすさや美しさが求められる用途に適しています。代表的な樹種としては、ケヤキやクリなどが挙げられます。

このように、あて材ができる場所は、木の生育環境によって異なり、その結果、木材としての性質にも違いが生じます。木材を選ぶ際には、その用途に合わせて、針葉樹と広葉樹、そしてあて材の特徴を考慮することが大切です。

あて材が引き起こす問題点

木材の一部に現れる「あて材」は、住宅建築において注意すべき要素です。あて材とは、木の年輪の中心が偏って生じている部分のことを指します。このあて材は、木材の強度や乾燥、加工に様々な影響を与えるため、住宅の品質に関わってくるのです。

まず、あて材を含む木材は、乾燥による収縮が均一に行われません。あて材の部分は、そうでない部分に比べて乾燥収縮が大きいため、木材が反ったり、割れたりする原因となります。木材が変形してしまうと、住宅の構造に歪みが生じたり、隙間から雨水が侵入したりする可能性があります。

また、あて材は、通常の材に比べて強度が均一ではありません。そのため、構造材として使用する場合には、その強度を考慮した設計や施工を行う必要があります。具体的には、あて材部分を避けて木材を配置したり、強度を補強するための金具を使用したりするなどの対策が必要です。あて材の存在を見過ごして構造材に使用してしまうと、住宅全体の強度が低下し、地震や台風などの災害時に被害を受けやすくなる可能性があります。

このように、あて材は住宅の耐久性や安全性を損なう可能性を秘めています。住宅を建築する際には、木材の専門家があて材の有無やその影響をしっかりと見極め、適切な対策を講じることが重要です。

あて材の見分け方

木材を選ぶ際、その強度や耐久性を左右する要素の一つに「あて材」の有無があります。あて材とは、木の成長過程で中心部から偏って生じる部分のこと。今回は、このあて材を見分ける方法について解説します。

まず、木材の表面を注意深く観察してみましょう。年輪の幅が均一ではなく、偏っている箇所があれば、あて材が含まれている可能性があります。また、色が周囲と異なり、白っぽく見える部分もあて材の可能性があります。これは、あて材が通常の材に比べて水分含有量が多く、乾燥すると収縮しやすいという特徴を持つためです。

さらに、木材の断面を観察できる場合は、三日月形や楕円形に似た模様がないか確認してみましょう。このような模様は、あて材が木材内部にどのように分布しているかを示すものであり、その存在はあて材が含まれていることを強く示唆しています。

ただし、木材の表面だけからの判断は、あくまで可能性の範囲を出ません。木材内部まで見通すことは難しく、経験豊富な専門家であっても、表面からの観察だけで断定することは難しい場合があります。確実な判断には、専門家による詳細な検査や、場合によっては木材内部の強度試験などが必要となることもあります。

あて材への対策

– あて材への対策住宅を建てる際に使用する木材には、中心部に近いところに赤みがかかった部分が見られることがあります。これは「あて材」と呼ばれる部分で、このあて材は、木材の強度や乾燥特性が周囲の部分とは異なるため、住宅建築において注意が必要です。あて材による問題を防ぐためには、木材の選定段階から注意を払うことが重要です。木材を選ぶ際には、できる限りあて材の含まれていない木材を選びましょう。しかし、住宅建築で使用する木材は、どうしてもあて材が含まれる場合があります。その場合は、あて材の特性を考慮した設計や施工を行う必要があります。具体的には、あて材を構造材として使用しないようにすることが大切です。あて材は強度が低いため、住宅の構造を支える柱や梁などの重要な部分に使うことは避けるべきです。また、木材を加工する際には、あて材の部分を避けて行うようにします。どうしてもあて材の部分を使わざるを得ない場合は、その部分を補強するなどの対策が必要です。さらに、あて材は乾燥収縮が大きいため、乾燥に時間をかけて反りや割れを防ぐことも大切です。木材を十分に乾燥させることで、住宅完成後の変形や狂いを最小限に抑えることができます。木材は自然素材であるため、一本一本に個性があります。そのため、木材の特性を理解し、適切な対策を施すことが、安全で安心な住宅を建てることに繋がります。