賃貸トラブルを避ける！原状回復の基礎知識

賃貸トラブルを避ける！原状回復の基礎知識

原状回復とは？

– 原状回復とは？

賃貸住宅に住んでいると、いつかは迎えることになる退去。その際に必ずついて回るものが「原状回復」です。

原状回復とは、簡単に言うと、借りていた部屋を入居した当時の状態に戻して貸主に返す義務のことです。 これは、賃貸借契約を結ぶ際に必ず定められている事項です。

つまり、私たちが賃貸物件を借りるということは、同時に「借りた時と同じ状態」で返還することを約束していると言えるでしょう。

しかし、ここで注意が必要なのは、「借りた時と同じ状態」＝「全く同じ状態」ではないということです。

例えば、長年住み続けたことによる壁紙の自然な色褪せや、家具の設置によって床に付いてしまった多少のへこみなどは、通常の生活を送る上で避けられない変化とみなされ、原状回復の義務の範囲外となることが多いです。

一方で、タバコのヤニによる壁紙の変色や、ペットによる床の傷、不注意による壁の穴などは、借主の責任によって生じた損耗と判断され、原状回復の義務を果たすために修繕費用を負担しなければならない可能性があります。

原状回復に関するトラブルは後を絶ちません。

退去時に慌てることのないように、賃貸借契約書をよく確認し、入居前に写真や動画を撮っておくなど、入居時の状態を記録しておくことが大切です。

どこまで直す必要がある？

賃貸住宅を退去する際、入居時の状態に戻す「原状回復」が求められますが、どこまで修繕すればいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。実は、原状回復義務は、部屋の損傷全てを入居者が負担しなければならないわけではありません。損傷の原因によっては、家主の負担になるケースもあります。

まず、地震や台風、豪雨などの自然災害によって発生した損傷は、入居者の責任範囲外とされています。 例えば、台風で窓ガラスが割れたり、地震で壁にひびが入ったりした場合、入居者に修繕義務はありません。ただし、日頃から窓や戸締まりをしっかり行うなど、適切な対策を講じていなかった場合は、一部を負担しなければならない可能性があります。

また、時間の経過とともに生じる自然な劣化である「経年劣化」も、入居者が修繕する必要はありません。 具体的には、家具の設置跡や冷蔵庫の裏側の壁の色褪せ、畳の日焼け、フローリングの小さな傷などが挙げられます。壁紙の張替えが必要な場合でも、全体的な変色や日焼けなど、経年劣化と認められれば、入居者は負担を負いません。

一方で、入居者の不注意や故意による損傷は、原状回復の対象となります。うっかり家具をぶつけて壁に穴を開けてしまった場合や、飲み物をこぼしてカーペットを汚してしまった場合などは、入居者が修繕費用を負担する必要があります。また、ペットによる損傷や、無断で壁紙を張り替えるなどの改造も、原状回復の対象となりますので注意が必要です。

原状回復の範囲や費用負担については、トラブルに発展することも少なくありません。賃貸借契約書の内容をよく確認し、不明な点があれば、不動産会社や大家に相談するようにしましょう。

借主が修繕すべきもの

賃貸住宅に住むという事は、その建物を借りて住まわせてもらうという事です。そのため、住んでいる人が部屋を大切に扱う事は当然の事です。しかし、生活していく中で、部屋の設備や内装を傷つけてしまう事もあります。その場合、誰がお金を払って修理するのかは、状況によって異なります。

基本的には、時間の経過と共に劣化していく部分は、大家さんの負担で修理します。例えば、雨風や日光によって外壁の塗装が剥がれたり、水道管が古くなって水漏れしたりといった場合は、大家さんが修理する責任があります。

一方、借主がうっかり壊してしまったり、汚してしまったりした場合は、借主の責任で修理費用を負担しなければなりません。例えば、飲み物をこぼしてカーペットにシミを作ってしまったり、家具をぶつけて壁に穴を開けてしまったりした場合は、借主が修理費用を負担する必要があります。また、ペットを飼っていて、ペットが床や壁を傷つけてしまった場合や、タバコを吸っていて、壁紙が変色してしまった場合なども、借主の責任となることが多いです。

賃貸住宅に住む際には、誰の責任で修理するのかをきちんと理解しておくことが大切です。日頃から部屋を大切に使い、もしもの時のために、火災保険や借家人賠償責任保険に加入しておくことも検討しましょう。

トラブルを防ぐために

賃貸住宅を借りて住む際、退去時の修繕費用に関する「原状回復」をめぐって、貸主と借主の間でトラブルになるケースは少なくありません。お互いが気持ちよく契約を終えるためにも、入居前にしっかりと準備しておくことが大切です。

まず、入居前に必ず行いたいのが、部屋の状態を入念に確認することです。床や壁に傷や汚れがないか、設備は正常に機能するかなどをチェックし、写真や動画に記録しておきましょう。この記録は、退去時に原状回復の範囲を明確にするための重要な証拠となります。

次に、賃貸借契約書の内容をよく確認しましょう。特に、原状回復に関する項目は注意深く読み込み、どのような場合に借主が費用を負担するのかを理解しておくことが重要です。契約書の内容が難解で理解できない場合や、不明な点がある場合は、遠慮なく不動産会社に質問し、納得した上で契約を結びましょう。

これらのポイントを押さえておくことで、原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぎ、安心して賃貸住宅に住むことができます。

退去時の注意点

引っ越しが決まり、新居での生活に胸を躍らせる一方で、住み慣れた部屋を去る際には、いくつか注意すべき点があります。

まず、退去が決まったら、出来るだけ早く不動産会社に連絡を取りましょう。退去の申し出は、賃貸借契約書で定められた期日までに済ませる必要があります。

連絡する際には、退去日を明確に伝え、併せて原状回復について確認しておきましょう。原状回復とは、借りた部屋を借りた当時の状態に戻すことを指します。ただし、経年劣化による損耗は、借主の責任範囲外となります。

退去日や原状回復について一通り確認が取れたら、不動産会社と相談の上、退去立会いの日程を調整します。

退去立会いとは、借主と不動産会社が立ち会い、部屋の状態を確認する場です。この際、部屋の傷や汚れなどを細かくチェックし、原状回復の範囲や費用について、不動産会社と十分に話し合いましょう。もし、納得のいかない点があれば、遠慮なく質問することが大切です。