賃貸住宅を退去する際に必要なこと

賃貸住宅を退去する際に必要なこと

退去とは

– 退去とは

賃貸住宅に住んでいる方が、その住宅から引っ越し、住むのをやめることを「退去」といいます。
仕事の関係で他の地域に移ることになったり、家族が増えたためより広い家に移り住むなど、退去の理由はさまざまです。

賃貸住宅に住むためには、あらかじめ住宅の所有者である貸主と、借りることを希望する人の間で賃貸契約を結びます。
この賃貸契約には、いつからいつまで、どのような条件でその住宅を借りることができるのかが細かく定められています。

契約で決められた期間が満了する前に退去する場合は、賃貸契約の内容に基づいた手続きを行う必要があります。

退去の手続きには、まず貸主や管理会社に対して、いつ退去する予定なのかを事前に伝える必要があります。
そして、住宅を借りたときの状態に戻す「原状回復」を行い、住宅の鍵を貸主や管理会社に返却します。
退去する際には、これらの重要な手順を踏む必要があることを覚えておきましょう。

解約通知の提出

– 解約通知の提出

賃貸住宅に住んでいる方が、その部屋から引っ越しをしようと決めた時、まず最初に行わなければならないのが「解約通知」の提出です。これは、大家さんや管理会社に対して、自分が契約を終了して部屋を明け渡す意思を正式に伝えるための大切な手続きです。

解約通知は、口頭ではなく、書面で作成するのが一般的です。便箋などに必要事項を記入するか、所定の解約通知書があればそれを使用します。記載事項としては、物件の住所、氏名、契約締結日、解約日などが挙げられます。

解約通知は、引っ越しを希望する日の1ヶ月前、または2ヶ月前までに提出することが一般的です。この提出期限は賃貸契約書に明記されているので、必ず事前に確認しておきましょう。もしも、期限を過ぎてしまった場合は、本来よりも長く家賃を支払わなければならない場合もあるため注意が必要です。

作成した解約通知は、大家さんや管理会社に直接手渡すか、郵送で送付します。郵送する場合には、配達記録が残る方法で送付すると、確実に届いたことを証明できるので安心です。

原状回復義務

賃貸住宅を退去する際、借りたときと同じ状態に戻す「原状回復義務」が発生します。これは、日常生活で生じる損耗は除いて、借主の責任で部屋を元の状態に戻さなければならないというものです。
具体的には、部屋の掃除やゴミの片付け、壁の汚れを落とす、電球の交換などが挙げられます。
しかし、どこまでが借主の負担となるかは、賃貸借契約書の内容や国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断されます。
例えば、家具の配置による床や畳の日焼け、冷蔵庫の裏の壁の黒ずみなどは、通常の生活を送る上で避けられないものとみなされ、借主の負担は発生しません。一方、故意過失による破損や著しい汚れは、借主の責任において修繕費用を負担する必要があります。
そのため、退去前に貸主や管理会社とよく相談し、修繕が必要な箇所とその費用負担についてしっかりと確認することが大切です。
トラブルを避けるため、入居時に部屋の状態を写真や動画で記録しておくことも有効な手段です。

立会い確認

– 立会い確認

賃貸住宅から退去することが決まったら、貸主または管理会社の担当者と一緒に、部屋の状態を確認する「立会い」を行います。

立会いでは、部屋の設備や内装に破損がないか、清掃が行き届いているかなどを細かくチェックしていきます。例えば、壁や床に傷がないか、水回りの汚れ具合、電化製品の動作確認など、様々な項目を確認します。

もし、修繕が必要な箇所が見つかった場合は、その場で修繕を依頼するのか、費用を負担するのかといったことについて話し合います。

この立会いは、退去時に修繕費用に関するトラブルが発生することを避けるために非常に重要なプロセスです。

スムーズな立会い確認を行うためには、事前に部屋の清掃や荷物の搬出を済ませておくようにしましょう。また、賃貸契約書の内容をよく確認し、原状回復義務について理解しておくことも大切です。

鍵の返却と敷金の精算

賃貸住宅の退去時には、部屋の鍵を貸主または管理会社に返却することが必要となります。この鍵の返却をもって、正式に賃貸契約が終了となりますので、忘れずに行いましょう。

さて、賃貸住宅を借りる際、多くの方が「敷金」を預けていることと思います。敷金とは、部屋を借りる際に貸主に預けておくお金のことで、退去時の部屋の破損や未払いの家賃があった場合に、この敷金から充当されます。

退去後、部屋の状態確認などが終わり次第、敷金の精算が行われます。精算では、原状回復費用などを差し引いた残りの敷金が借主に返金されます。

敷金の精算にかかる期間は、通常、退去後1ヶ月から2ヶ月程度です。もし、敷金の精算内容に納得がいかない場合は、貸主または管理会社に問い合わせてみましょう。疑問点を解消した上で、納得のいく形での解決を目指しましょう。