危険な殺虫剤「クロルピリホス」とは?
- クロルピリホスとはクロルピリホスは、かつて農業や家庭で幅広く利用されていた強力な殺虫剤です。害虫に対する効果の高さから、農作物を害虫から守る農薬として、また、家屋に発生するシロアリや蟻などの不快害虫を駆除するために、住居用の防蟻剤やシロアリ防除剤として使用されていました。
クロルピリホスは、昆虫の神経系を阻害することによって効果を発揮します。具体的には、昆虫の神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を阻害することで、神経系の興奮状態を継続させ、最終的に死に至らしめます。
この強力な殺虫効果は、農作物の収量増加や衛生環境の改善に大きく貢献してきました。しかし、近年ではその毒性の強さから、人体への影響も懸念されるようになりました。特に、発育段階にある子供への影響が大きく、神経発達への影響や、喘息などの呼吸器疾患のリスク増加が指摘されています。
これらの健康への影響を考慮し、世界的にクロルピリホスの使用が規制されつつあります。日本では、2020年以降、クロルピリホスを含む農薬や家庭用殺虫剤の販売が禁止されました。
クロルピリホスは効果の高い殺虫剤でしたが、その一方で人体への影響も懸念されるようになりました。現在では、より安全性の高い代替品の開発が進められています。