和室の顔、竿縁天井の魅力
- 竿縁天井とは日本の伝統的な和室で見かけることの多い、格子状の模様が美しい天井を「竿縁天井」と呼びます。部屋の四隅にある柱の上部に沿って、「回り縁」という木材をぐるりと一周させて土台を作ります。そして、その回り縁に「竿縁」と呼ばれる細い角材を一定の間隔で平行に取り付けます。その上に天井板を敷き詰めることで、竿縁と天井板によって整然とした格子模様が浮かび上がります。この天井板には、薄い板を何枚も重ねて作られた「羽重ね板」や、一枚板を加工したものが用いられます。竿縁天井は、単に見た目が美しいだけでなく、いくつかの機能的なメリットも持ち合わせています。まず、天井板を竿縁で支える構造であるため、天井裏の換気を確保しやすくなるという点があります。日本の高温多湿な気候では、湿気がこもりやすい天井裏の換気を適切に行うことは、建物の寿命を長く保つ上で非常に重要です。また、天井板を直接固定しないため、地震などの揺れが生じた際に天井板が動きやすくなり、建物への負担を軽減する効果も期待できます。竿縁天井は、「竿淵天井」や「棹縁天井」など、異なる名称で呼ばれることもあります。いずれも、天井に竿状の部材を用いていることが由来となっています。近年では、和室だけでなく、洋室にも取り入れられるなど、その美しい見た目と機能性から、現代の住宅建築においても見直されている伝統的な建築様式の一つと言えるでしょう。